会長様の秘蜜な溺愛
▼ヒミツな溺愛
――コンコンコン
「はい」
「失礼…しますっ」
荷物を持ったまま、扉の前で息を整えて
何度も胸が高鳴ったその場所へと足を踏み出す。
久しぶりに聞く、控えめな彼の声に身体が疼いた。
「……菜穂…?」
「っ…会長、」
「…何しに来た」
細められ、冷酷な圧すら感じる目と声色は
神谷くんが会長に向けたものに似ていた。
(大丈夫、大丈夫…っ)
正直に怯んでしまいそうになった一歩を
ゆっくり深呼吸をして戻す。