懐妊初夜~一途な社長は求愛の手を緩めない~
ずっと私の心にあった漠然とした願いは、先日同僚が産んだ赤ちゃんに会いに行ったとき、その同僚から聞いた話ではっきりと具現化した。
〝もっと早く産めばよかったな~なんて思っちゃうんだ〟
〝実はうちの母、病気で倒れて意識がなくて、この子のこと抱けないの。まだまだ若いって安心してたんだけど、親って私が思うより歳取ってたんだなぁって……〟
幸せいっぱいであるはずの同僚の浮かない横顔を見て、私は胸を締めつけられた。
彼女を励ます言葉が浮かばなくて悔しいのと同時に、私の大好きなお母さんもいつかは……と思うと他人事じゃなかった。
漠然と憧れていた自分の子ども。いつか、じゃなくて、今欲しい。
母がいつまでも元気でいてくれる保証はないんだと思うと無性に焦った。
お母さんに孫を抱っこさせてあげたい。それに、赤ちゃんなんてただでさえ可愛いんだから、自分と血を分けた子どもなんてめちゃくちゃ可愛く見えるに決まっている。
――頭の中でまだ見ぬ我が子に思いを馳せていた私は、しばらく気がつかなかった。
社長室の空気が凍りついていることに。
「……こ……子どもか。そうか……」
「……あっ」