懐妊初夜~一途な社長は求愛の手を緩めない~
「えっ……と……そのっ……!」
動揺のあまり、手の中から書類を取り落としてしまう。
枚数の多いそれは〝ばさっ!〟と床で大きく広がり、一部がひらひらと宙に舞う。
なにこれ? 現実?
なんてことを言ってしまったんだろう。
「宮内、落ち着け。座りなさい。……こっち見て」
書類を拾うため慌てて床に膝を突こうとした私は社長の手に捕まり、半ば抱えられるような形で社長椅子の隣の椅子に座らされた。
続けて大きな手のひらに片方の頬を包まれ、正面を向かされる。
真正面にあった社長は、端正なお顔の口元をむずむずと動かしながら、気まずさを押して私と目線の高さを合わせていた。
社長。私にあんなことを言われたというのに、男気ありますね……。
「お前が嘘をつけない性格なのは知っている。つまらない冗談を言わないことも知っている。……子どもが欲しいのは事実だな?」
「あ……う……ええと……」
「宮内。正直に」
「じ……事実、です……」
なんだかひどい辱めを受けている気分になってきた。目の奥がじわっと熱い。
「そうか。お前は〝子種を求めている〟と……」
「ううっ……!」
上司からこんな質問、言葉だけ切り取ったらただのセクハラだ。でもこれは私が先に言い出したこと。ともすれば逆セクハラだ。
申し訳なさすぎて胃が痛い。やっぱり社長の顔が見られない。