懐妊初夜~一途な社長は求愛の手を緩めない~
だから私は恥ずかしいのと泣きたいのとでいっぱいいっぱいになりながら、最近考えていたことを話し始めた。
ぽつぽつと。
「はい……欲しいです。信頼できる幼馴染はいるんですが、絶対ぎくしゃくしてしまうでしょうし……」
「……ん?」
「見ず知らずの人のほうが後々になって気を遣わせることもなくていいと思うんですけど、ちょっと……怖いじゃないですか? そういう……子どもをつくる行為を、見ず知らずの人とするのは。そこまで真剣に考えるくらいには欲しいんですけど……」
「……お前は何を言っているんだ?」
「な……なんでもありません――!」
〝そんなに子どもが欲しいのか〟と訊かれたから、どれくらい欲しいのかを真面目に答えたのに!
社長が「は?」みたいな顔をするので、こんな話は求められていなかったことを知る。
(コミュニケーションが下手くそ……!)
自分のキャッチボールのできなさにがっかりだ。
さっきの失言を引きずって、挽回しようとして、ひとりで空回っている。
これ夢だったりしないかな……。
社長に失言してしまうという大失態を犯す夢。
さっきの〝欲しいもの〟を答えるくだりを丸々やり直したい。だけどこれは夢じゃない。相手もなしにどうやって子を産むか……なんて考えていたことが、よりにもよってこの人にバレてしまった。