懐妊初夜~一途な社長は求愛の手を緩めない~
ホテルの二階に入っている鉄板焼きの店『旬華愁蕩』はカウンター席がメインの店で、目の前でシェフが四季折々の食材を焼いて出してくれるのが売りだった。
そこで俺たちは適当にコースを選ぶ。
女性でも無理なく食べきれる量かだけ確認してオーダーをすると、宮内は珍しく自分から「お酒を飲んでもいいでしょうか」と申し出てきた。
「もちろん。好きなのを頼めばいい」
「ありがとうございます」
「でも珍しいな。お前が勧められもしないのに飲むなんて。てっきり酒はあんまりなのかと思ってたよ」
指摘すると、宮内は飲む前から顔をほんのり赤らめ、俯いてこう言った。
「得意というわけではないんですが……ほら。今日はコトがコトなので」
「……ふーん」
その言い方エロくない?
……と思ったものの、喉元ぎりぎりで言うのを我慢した。
白ワインで乾杯すると、季節の野菜を皮切りにコース料理が目の前に給仕され始める。
オマール海老の半身にホタテの貝柱、アトランティックサーモン、甘鯛の鉄板焼き。終盤の蝦夷アワビが出てくる頃には、お互いに酒が回って饒舌になっていた。
最後にデザートが出てくるのを待つ間、カウンター席に頬杖をついて隣の宮内に話しかける。
もともとこういう椅子の配置だったのか、いつもより距離が近い。