懐妊初夜~一途な社長は求愛の手を緩めない~
「お前が〝到着しています〟ってメッセージを送ってくるまで、宮内は逃げ出すんじゃないかと思ってたよ」
「どうしてですか?」
ほんのりワインの香る呼気を感じる。
酔って僅かにぼんやりしている目が一生懸命にこっちを見ていて、可愛いなぁと思った。
「だってあきらかに狼狽えてる風だったし。前言撤回したそうだったし」
「そりゃそうですよ。まさか名久井社長が乗り気になるなんて思わなかったんですもん」
「でも逃げなかった」
「……逃げなかったですね」
言いながら自然と手を伸ばして頭を撫でてしまいそうなくらい、隣に座る宮内が可愛い。
いつも可愛いけど……照明のせいか? それともこれから起こることへの期待感のせいか。いつもの五割増しくらい可愛く見える。
宮内はそうっとワインの残りに口をつけ、ほうっと息をつく。
それから静かに語り始めた。
「お恥ずかしながら……子どもが欲しいのは、本当なので」
消え入るような声で伏し目がちに放たれた言葉に、俺の中でボルテージが上がっていく。
(そんなに俺との子どもを望んでくれているのか……)
眩暈がするほどうれしい。