懐妊初夜~一途な社長は求愛の手を緩めない~
 ついさっき恋愛感情を自覚したばかりの相手が、こんなにも自分を好いてくれていたなんてどんな幸運だ。うちの会社、明日あたり倒産するんじゃなかろうか。

 一方でひとつだけ気になっていることがあった。

「どうしてそこまで子どもが欲しいと思うんだ?」

 昼間の宮内の発言は冷静に思い返してもやはりぶっ飛んでいた。交際も結婚もすっ飛ばしていきなり〝子ども〟に至ったのは、どうしてなのか。

 宮内はけろっとした顔で、至極当然と言わんばかりに答えた。

「だって、子どもって可愛くないですか?」
「ああ……」

 そりゃあ……お前が母親なら、生まれてくる子どもはさぞ可愛かろうよ。

(……想像してしまった)

 頭に浮かんだ幼児のイメージは控えめに言っても天使だった。
 宮内に似てつぶらな瞳。意志の固そうな唇。可憐な雰囲気。

「いいな、子ども」

 俺はそれしか言えなくなって、肝心の〝俺の子どもが欲しい理由〟については聞きそびれてしまった。



 食事を終えて部屋に戻る頃には、ふたりともいい感じに酔っていた。足取りが怪しいというほどではないが、いつもよりあきらかに少しテンションの高い会話。

 部屋の中に入って俺が「先にキスくらいしとく?」と尋ねると、宮内は可愛らしくニコッと微笑んでから目を閉じた。

(うーわ……)

 本当に今日、可愛すぎるんだけど。
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