私に攫われてください
「警部」

殺気立っている刑事に、一人の男性が話しかける。隣国の警察官の制服を着こなした男性だ。黒い制服の中で、深緑の制服を着た男性はとても目立っている。

「私は、隣国からこの国に警察のスキルを上げるためにやってきた者です。私にも協力させてください」

突然男性がそう言ったことに、刑事は「はあ!?」と言い男性を怪しむ。男性は警察手帳を見せ、「ボディーチェックをしてもらって構いませんよ」と両手を上げた。

刑事は警察手帳を見る。名前はネビル・ハドソン。二十五歳で階級は巡査。怪しげな点は見つからない。

「警部、調べ終わりました。怪しいものは出てきませんでした」

ボディーチェックを終えた部下が言い、刑事は改めて男性を見つめる。ネビルは真剣な目をしていた。

「これは遊びではないのだ」

刑事がそう言うと、「わかっています」と返される。

「私は、銃の腕前には自信があります。必ず怪盗クラウスを捕らえ、エリーゼ嬢を守り抜くことができるでしょう」
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