私に攫われてください
ネビルはそう言い、刑事の部下に渡した拳銃を木に向かって放つ。銃弾は外れることなく的に当たった。

「わかった。協力を許可する。ただし、勝手な行動をしたら即追い出すからな!!」

「ありがとうございます」

ネビルは敬礼をし、刑事の前から去っていった。警察は誰も知らない。ネビルがほくそ笑んでいたことを……。



屋敷の庭や廊下から、警察の忙しそうな足音や声が響いてくる。しかし、この部屋で閉じ込められているエリーゼは大人しくしていることしかできない。

この部屋の鍵は、父が持っている。おまけにここ数日で屋敷に両親は大金をかけてクラウス対策に改造をした。

エリーゼの部屋の窓ガラスは、強化ガラスに変えられた。銃で撃たれても傷一つつかないほど強力なもの。おまけに開けることができない。

「お嬢様、食事のお時間です」

扉が開き、メイドが昼食を持ってきた。その後ろには警察官が二名いる。

刺繍をしていたエリーゼは立ち上がり、「ありがとう」と言い昼食の入ったお盆を受け取った。昼食は牛肉とクレソンのピラフだ。
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