見守り愛 〜ビタースイートな副社長と一目惚れの恋を成就したい〜*おまけ終了*
私達にも注いで〜、と皆が副社長におねだり。
それを彼は、面倒くせーな、という顔をしつつも、口には出さずに注いでやっている。


(紳士なんだな)


グラスを握ったまま、まだ注いでもらったビールを飲まずにぼんやり彼を眺めていた。
着ている白いシャツとカーキ色のセーターがお似合いだな、と目を離せずに追っていた。


(こんな素敵な人がうちの会社にいたなんて……)


知らなかった、と思うのも無理はない。
私がこのHorikawa家具に入社した頃から、副社長はずっと国内の支社や海外で働いていたんだから。

海外支社ではバイヤーをしながら家具の資材調達や輸入を手掛けていた。
その功績はたまに本社内でも噂になり、大手資材メーカーとの契約が成立したのも、バッグで彼が動いていたからだと営業部の男性達は話していた。


(イケメンってだけじゃなく、仕事も出来るなんて羨ましい)


天は彼に二物も三物も与えたんだなぁ…とぼんやり思った。
すると、その間抜け面を相手はしっかり見ていたらしく、私の目の前で手を振ると、なんだ?どうした?…と訊いてきた。


ハッ!


「あ、いえ、あの、なんでも!」


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