見守り愛 〜ビタースイートな副社長と一目惚れの恋を成就したい〜*おまけ終了*
「でも…」


私が先では山頂へ着く時間が遅くなるのでは…と不安になる。
だけど千之さんは、「誰かと競いながら登っている訳ではないからゆっくり歩いていい」と打ち消してくれて、それで安心して前を歩いていこう…と決心できた。

息切れで何度も足は止まった。けれど彼からは責められることもなく、返って冗談を言いながら気持ちを楽にさせてくれて、有難い思いで進むことが出来た。


九合目付近で山頂から下りてくる人達と出会った。
登る途中で後から追い抜いていった人達で、「もう少しですよ」と励まされて心強かった。

しみじみ登山というのは、一人で登るのではないのだと思った。
それを教えてくれた彼に、登ったらお礼を言おうと思いながら、頑張って息を切らしながらも歩む。

もう最後は自分の足先だけを見つめて歩いた。
声も出せずに下だけを見つめていたら、急に坂が無くなって視界が開けた。


「着いたぞ」


千之さんの声に眼前に目を向ける。

私の視界には、広く晴れ渡った空と白く連なる遠目の山々とが見え、呆然として言葉もなくなり、その冬景色を見つめてしまった。


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