見守り愛 〜ビタースイートな副社長と一目惚れの恋を成就したい〜*おまけ終了*
それがたまたま葉山さんだっただけだ…という感じに聞こえ、ドキッと胸が鳴り響く。
けれど、彼の口から出てきたのは高吉君のことのみで、安堵した様な、若干複雑な気分に駆られてしまった。


「琴音の言うように、あいつでも出来たのかもしれない。けれど、あいつは自分なりに自分の歩む道を模索していたようだったし、だから、余計な口を挟むのはやめた」


それが店舗への異動?…と言葉を飲み込む。
じっと黙って見つめていると彼の手がスッと伸びてきて、私の頬を包んだ。


「俺を……恨んでいるか?」


人事について進言すると言ったのに、その通りにはならなくて…と言いたげな表情に胸が苦しくなる。まさか、彼がそこまで気にしているとは思わず、ぐっと唇を噛み、声を喉の奥へと溜め込んだ。


ハァーッと息を吐いて彼の手を握り返す。
それから決心するように目線を向け直し、「千之さん」と声を発して名前を呼んだ。


「人事については私、何も言いたいことはありません。貴方を恨んでもないし、上層部が最善と思って決めてくれたことについて、異論を述べる立場でもありませんから。
…ただ、一つ訊きたいことがあるので、それだけ教えて貰えませんか?」


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