見守り愛 〜ビタースイートな副社長と一目惚れの恋を成就したい〜*おまけ終了*
「旅行のアンケート結果を元に、ツアープランナーの方と相談して、行き先とコースを考えさせて頂きました。次はこの中から皆が行きたいと思える場所を一つ選んでもらい、コースはまた希望を聞き直して…」

「ダメだな」

「えっ?」


説明する声を遮った俺は、バインダーを堂本に渡すとこう言った。


「時間がかかり過ぎだ。もっと行き先の選択肢を減らして、コースも二カ所くらいに絞ってから持ってこい」


選択肢が多いイコールいつまでも纏まらないだろ、と言い放つ言葉を聞いた彼女は、ぐっと唇を結び、反発する声を堪えるようにして押し黙った。



「……はい」


不満そうに一応は了解を示し、堂本からバインダーを受け取ると、頭も下げずにさっさと秘書室を出ていく。

その姿を見つめながら俺は軽い溜息を落とし、振り向いた堂本は俺を見つめて、「どうしてあんな言い方を…」と責めるような顔つきで言い返してきた。


「神野さんはきっと、皆の意見を幅広く集めたいだけなんですよ」

「そんなのは分かってる!」


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