見守り愛 〜ビタースイートな副社長と一目惚れの恋を成就したい〜*おまけ終了*
「走るな。次に転んだら笑い事じゃなくなるぞ」


また痛い目に遭いたいのか、と脅され、滅相もない!と手を上げる。


「だったらゆっくり付いて来い。慌てなくてもいいから」


また背中を向けて歩き出す相手の歩調に合わせて足を前に進めだす。
副社長は黙々とコテージの近くまで私を送り、振り返って、「お疲れ」と声をかけた。


「早く休めよ」


そう言って頭をポンポンと叩き、来た道を戻り始める。

私はその背中に向かって、「お休みなさい!」と声を返し、姿が見えなくなるまで見送った____。





(他愛のない事なのに……)


ボンヤリと肘をついたまま浮かんでくるのは副社長の顔ばかりだ。

微笑んだ顔やじっと焚き火に見入る横顔。
それに、私の頭に手を置き、「お疲れ」と囁いた優しい顔。


どれもあのホテルでの彼とは少し違う。
ドキドキするけどむしろジワ…と胸の奥に浸透していくような感じ。



(何だろう。これ…)


こんな気持ち初めてだな…と物思いに耽っていた。
やらなければいけない事は山積みなのに、それも何処かへ放ってしまって___。


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