見守り愛 〜ビタースイートな副社長と一目惚れの恋を成就したい〜*おまけ終了*
実は、彼は先月まで入院と自宅療養をしていた。
肺気腫という若い男性に多い病気で発作を起こし、救急搬送されて、先週やっと職場復帰を果たしたのだ。


手術はしなくても仕事のストレスから一時解放されれば症状は良くなると医師に言われたらしく、二週間ほどの入院後、三週間ほど自宅療養を続けていた。


職場へ復帰するに当たり、部署内と職場内に相談相手がいる方が良い、と産業医からのアドバイスもあり、同じ部署の先輩社員と職場のメンタルケアを担当する私が彼の相談相手や心配事を聞く係になった。


私は彼とはそれまで全くと言っていいほど面識もなく、そんな私に彼が急に相談事を言える筈もないから、最初は無理に話を聞こうとはしなかった。


だけど、こうして何度か社内で顔を見合す度に、調子はどう?…と声をかけるようにはしていて、彼の顔色や表情を確かめながら、無理をしていないかどうかを見定めていた。



「若干…太りました?」


退院後よりもいい顔色をしているような…と思い訊いてみると、彼は照れ臭そうに「はい、まあ」と微笑んでくる。


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