見守り愛 〜ビタースイートな副社長と一目惚れの恋を成就したい〜*おまけ終了*
「私も頑張ろ」


呟いてクルッと踵を返した。
次は営業部へ行ってこの用紙を渡そうと歩きかけた時、自分の視界の端に隠れるような感じ動きをする人を見かけた。



(あっ…)


あれは…と思い、急いでその後ろ姿を確かめようと足を進ませる。
走ると足音が響くから、なるべく早足でラウンジを突っ切った。


廊下へ出るとさっきの人の後ろ姿を探す。
でも、ぱっと見は何処にも姿がなく、ガッカリしながら営業部へと向かった。


(今のあれ、絶対に副社長だったよね…)


ちゃんと見えてなかったけれど、背格好が彼に似ていた。
服装もきちんと確かめられなかったけれど、一瞬だけ見えた背中というか、手の大きさが彼だと思えた。


(手の大きさって何よ)


自分でも何故そんなことを思う?とツッコミを入れたくなる。
この間の検診時に何かと彼に睨まれているような気配を感じていたせいか、今回もまたそんな妄想に駆られる。


(副社長が私のことをそうそう見ている筈ないじゃん)


雲の上の人なのに…と思って溜息を吐く。
同じ本社内で働いている人なのに、やはりそう顔を合わせる人ではないのだ。


< 73 / 325 >

この作品をシェア

pagetop