見守り愛 〜ビタースイートな副社長と一目惚れの恋を成就したい〜*おまけ終了*
結局いろいろと愚痴ったお陰なのか、高吉君はそう言って先輩社員に頼む結論をつけた。
それを聞いて、私はまた頷きを返し、「また話を聞かせてね」と椅子を立ち上がる。


「貴重なお時間を頂いてありがとう。お仕事、楽しんで」


こういう病み上がりの人に、「頑張ってね」…と言うのは禁句だ。
「無理をしないでね」…と言っても絶対に無理しそうなタイプだし、そういう人には気楽さを感じさせる言葉が適切。


「私も高吉君の話を聞いて自分の仕事って大事だなって、つくづく思った。だから、また話そうね」


ああ、そうそう。これ持って行って…と忘年会の用紙を手渡す。
良ければ高吉君も参加してくれるときっと楽しめるよ、と笑い、ほら仕事に戻って…と手を振った。


彼は戸惑いながらも一礼して部署へと戻りだす。

その背中を見送りながら、自分らしい笑顔で話せる日までもう少し時間が要りそうだな…と思い、手を下ろして、ふぅ…と息を吐き出した。


次は自分の気持ちをリセットさせる番。

何の答えにもならないかもしれないけれど、この一瞬、彼がやる気を取り戻せたのならまあいい。


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