見守り愛 〜ビタースイートな副社長と一目惚れの恋を成就したい〜*おまけ終了*
「なあ、あんた」


馴れ馴れしく『あんた』と呼ぶ相手の声にビクッとしながら顔を向けた。
白いスポーツウエアを着た人は上から真っ直ぐな目線を私に下ろし、引き締まった口元のラインを全く上げもしないでこう話した。


「少し会場内が寒いんだけど。他にも寒いと言ってる連中いるし、準備体操が始まるまでの間でいいから体育館の空調温度を上げるよう、事務所に掛け合ってくれないか」


自分の名前も名乗らず、私のことも知らない感じでいる相手は、あんた呼ばわりをした挙げ句、頼むな、と言ってさっさと立ち去って行く。



「何あれ」


偉そうに…と思ったが、周りを見渡すと確かに寒そうに二の腕を擦ったり、腕組みをして我慢をしている人達がいる。


「いけない!風邪でも引かれたら困る!」


福利厚生行事で体調を崩されては大変、とばかりに事務所へ走った。
館内の空調温度を上げてもらうようにお願いすると、それはあっさり聞き入れて貰えた。


安心して体育館内へ逆戻り。
温度は徐々にしか上がらないけれど対応はしました…とその人に言うつもりで彼を探した。


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