見守り愛 〜ビタースイートな副社長と一目惚れの恋を成就したい〜*おまけ終了*
(こっちはプライベートだなんて、簡単に思えないよぉー)


無理無理…と頭を横に振りそうになりながら前を向く。すると、社長の向かい側に座る人の頭に気づき、ドクッ…と胸が弾んだ。


(えっ、まさか……)


あの襟足はどこかで見たような。
あの耳朶も広い肩幅も、あの夜、見た人によく似ている。


でも、他人の空似かもしれないし…と思いつつも、視線がどうにも逸らせない。
頭の中では、玄関口に置かれてあったスニーカーが思い浮かび、もしや…と疑いたくもなったけれど__。



「お前も挨拶くらいすればいいだろう」


社長の目線が自分の向かい側に座る人に向き直った。
こっちはその言葉にドキッとして、緊張が走ったまま、目の前にいる人の後頭部を見た。


「…ああ。…分かったよ」


面倒くさそうに返事をして立ち上がる男性。
白いセーターの下には黒のジーンズを穿き、ソファの背もたれを掴みながら向きを変える。


「あっ……」


声を発したまま、私は動けなくなって棒立ち。
相手は不満そうな顔つきで、お互い無言で顔を見合わせる。


「え?何?既に知り合い?」


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