メリークリスマス!
「あーもう食えない!」
匡祐はぱんぱんに膨らんだお腹をたたきながらソファに座った。
キッチンで片づけをしている千晃が笑っている。

「洗い物、俺やるから千晃も座りな」
「うん。」
匡祐の言葉にも手を止めない千晃に匡祐は立ち上がりキッチンへ来た。
「そう言っても頑張っちゃうんだよなー。千晃は。」
そう言いながら匡祐も腕まくりをして手伝い始める。
「ありがとう」
匡祐は家にいるときは家事を率先して手伝ってくれた。

匡祐も千晃も、あたたかい家庭にあこがれる気持ちが強い。
忙しい母がクリスマスも仕事ということが多かった匡祐は一人でクリスマスを過ごすことが多かった。母が特別にと用意してくれたケーキも一人で食べたこともある。
千晃は両親は不在で、シェフの作る大人用のディナーでクリスマスも一人で過ごした記憶しかない。
2人にとってクリスマスプレゼントなど縁のないものだった。
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