君がいればそれだけで。
王女が眠っている事を理由に色んな所で事件が起きているけれど、パルさんもラズハルドやリズレイドも干渉しない。だから調子に乗って酷くなっているんだけど、これはやり過ぎかな。

「ベクウ、開けるぞ。・・・っ!?」

「兄さん、パルさん呼んできて。後、出来るだけ慌てているようにしながら召し使いや兵士を宥めて」

腕を掴んで引き止めた僕の耳元で分かったと呟いた兄さんはすぐに実行に移してくれた。僕はというと一度扉を閉めてガスマスクや厚手の手袋など、頭から指先まで完全防備でベクウの部屋に入った。
有毒ガスを食い尽くす植物を部屋の四つ角と中央に起き、ベクウの安否を確かめた。心臓も止まっている。息もしていない。でも、草花は凍っているのに体の硬直は始まっていない。
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