君がいればそれだけで。
普通ではない王女に周りの決めた普通が通用するはずがないだろう。通用する日が来たのなら、それはこの世の終わりだ。私の言葉に何を感じ取ったのか、ラズハルドはいつも通りの自信に満ちた表情に戻っていた。自分の心さえまともに整理できていないのに人の心を気にしている場合かよ。

「シオラはどうなんだ?怖いと思ったのか?」

「恥ずかしい話、怖いと思ったな。腰を抜かして動けなかった」

「シオラでも腰を抜かすんだな」

それからはずっと、ラズハルドと王女の話で盛り上がっていた。
何て事ない内容ではあったものの、おかげでまた好きになれそうだ。
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