君がいればそれだけで。
王女に手を伸ばしているともう一人、さっきまで元気に走り回っていた方の王女が伸ばしている方の手を踏んできた。正の心の王女だ。笑っているが負の心が無いから恨みや妬みなどの感情ではないんだろうけど、どうして恐怖を感じてしまうんだ。

「俺が愛したのは負の心を持った上で正の心を楽しむ王女様です」

「何で?何で私はダメなの?」

「俺が愛しているのは負の心を持った王女様です。負の心を拒絶しているようなあなたではない。あなたは王女様ではない」

俺が愛しているのは負の心も正の心も持ったありのままの王女であるとはっきり言ったけれど、正の心だけを持った王女には分かってもらえなかった。
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