君がいればそれだけで。
「たった一人、理解してくれる人がいれば良い。それが私にとってのあなたたちだった。だから無理に理解してもらおうとも思えないのよ」

「だから放っておくのですか?」

「あなたたちがいる内はこのままで構わない、かな」

俺とリズレイドは顔を見合わせた後、鼻や頭を掻いて恥ずかしいような気まずい雰囲気が流れた。王女も微笑みながら窓の外を眺めている。でも、今の現状に亀裂を入れようとしているのは周りの人だけだったらしい。庭にいた魔女であった王女から王女へ手を振ってきたんだ。それもとても愛らしい、信頼しきっている笑顔だった。
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