君がいればそれだけで。
一番力のある持ち主と聞いて王女の気の抜けた一面を見たら誰でもこうなる物なのか。この国の人々は問題を解決する時の凛とした姿しか見ていないから怖がっているのか。でも、召し使いは違うよな。俺がここに来るまでは王女の身の回りの世話をしていた訳だし、兵士だって庭で寝ている王女を見掛けた事くらいあるだろう。なのに、恐怖は抜けていない。第一印象が尾を引いているのか。

「パルさん、実際の王女様ってどんな方なんですか?」

「見たままの方だ」

「周りの話す人物像と随分違うようですが?」

「お前らがどっちを信じるかの問題だろ?知るかよ」

やっぱり他の奴らと変わらないのか。期待した俺が愚かだったか。
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