私だけのヒーロー
こんなときどうすればいいか分からず、ただその場で立ち尽くしていると……再びたっくんにほっぺを指で突かれた。
「なっ、何でほっぺ?!」
「んー、何でだろう」
ボディタッチならぬ、ほっぺタッチを不意打ちで、しかも2回もやられてドキドキが止まらない。
私がそんな状態なのも知らずに、たっくんは真剣に質問について考えているのか、私のほっぺをジーっと見つめてきた。
「あ、わかった」
ひらめいたと言わんばかりに、少し嬉しそうにするたっくん。
「さゆのほっぺ、柔らかそうだから、つい触りたくなっちゃうんだよね」
「……」
「今、さゆがボーッとしてたから、あ、隙ができた、触っちゃおうって思った」
淡々と他愛もない会話をするように、たっくんは恋愛初心者の私に向かって爆弾発言を振りかけてくる。
さ、さ、触りたくなっちゃうだって……?!
もしかしてだけど、今までも私のほっぺを見るたびに、柔らかそうだなぁーって思っていたんだとしたら、これからもっとたっくんとまともに話せそうにない!
普通に話していたとしても、私のほっぺを見てるんじゃないかって、そっちにばかり気がとられて、会話の内容なんか入って来る気がしない。