私だけのヒーロー
周りの男の子たちもそれに便乗して、私を"パー子"と呼んできた。
それ以来、男の子と話すことが怖くなり、この髪の毛が嫌いになった。
トラウマはなかなか消えず、今現在まで、男の子とはまともに話したこともなければ、男の子を好きになることもなかった。
それほど大きな傷をつけたことなんて当の本人は忘れているだろう。
恐る恐る羽鳥の顔を見たけど、からかうような笑顔が昔と変わっていなくて、私はすぐに顔を逸らした。
「何で逸らすの?! やっぱりパー子じゃん! ていうか、くるくるパーマはどこいった? あれが面白かったのによー」
足元にうつる影で、羽鳥の手が私の頭に触れようとしていることに気づいた。
逃げたいのに、当時の自分に戻ってしまったのか、体が動いてくれない。
ただただ目をギュッとつぶった。
だけど、一向に頭を触られる気配がない。
「人が嫌がってることはしちゃいけませんって、親に教わらなかった?」
隣から聞こえたのは、少し怒ったような低い声。
そっと目を開け、2人を見ると……たっくんが羽鳥の手首を掴んでいた。
まさかの、たっくんが制御してくれていた。