私だけのヒーロー
「たっくん? もう学校終わったよ?」
まだ机に突っ伏して寝ているたっくんに、少しかがんで声をかけた。
でも、たっくんは爆睡しているらしく、応答がない。
もしこのまま夜まで起きなくて、学校から出られなくなったらどうしよう……。
先生に見つかって反省文を書かされるかもしれない。
たまたま今日、悪い人が学校に侵入して、たっくんが鉢合わせして襲われちゃうかもしれない。
そう思ったら居ても立っても居られなくなった。
「たっくん! 起きて! 怖い人に襲われちゃうよ!」
たっくんの背中を少し強めに揺らした。
すると、たっくんの頭が少し上がり、隙間から覗く目が私をジッと見た。
ゆっくりと起き上がるたっくんに、心底ホッとした。
本当に爆睡していたらしく、重そうなまぶたをゆっくりと動かし、大きなあくびをした。
両腕を伸ばし、首を左右にかしげ、コキッコキッと骨を鳴らすと、どうやらスッキリしたのか、再びたっくんの視線は私へと向かった。