名前を呼んで、好きって言って
「待って、打ち上げって何するの?」
私は打ち上げというものを知らなくて、一人だけ置いていかれていた。
「カラオケとかファミレスとか行って、騒ぐ。なんていうか、お疲れ様会みたいな?」
清花ちゃんは簡単に教えてくれる。
つまり、みんなで遊びに行くということだろう。
「楽しそう……だけど……」
遊びに行くのには、少し抵抗があった。
中学時代の人と偶然会ったりしたら、きっと私は動けなくなる。
それがわかっているから、できるだけ家と学校の往復しかしていない。
「じゃあ、俺らが優勝できたら、来てよ」
どうやら打ち上げをすることは決定らしい。
「……わかった」
私の返事を聞いて、春木君は練習に行った。
不安は消えていない。
でも、春木君がいれば翠君がいて、柊斗さんがいる。
街で偶然会っても、柊斗さんのギャップを知らない人たちは、きっと近寄ってこない。
だから、春木君の言葉を受けた。
「秋保ちゃんは相変わらず、翔和に甘いよね」
清花ちゃんはおにぎりを頬張って言う。
「打ち上げ、乗り気じゃないでしょ」
清花ちゃんは鋭い。
それを知られていて、適当に誤魔化すことはできない。