もうそばにいるのはやめました。
もっと見たいよ。
笑顔じゃなくてもいい。
ずっとこのままそばにいたい。
本当はここを離れたくない。
あと数時間で同居が終わる。
だから、ね。
誰よりも近くにいてもいい理由がほしいの。
「……ひゅひ」
「ん?」
こげ茶色の瞳に、まだ笑ってる円だけを映す。
両頬をつぶしてるごつごつした手に触れると、ゆっくり力が抜けて落ちていく。
「好き」
もう一回。
今度はちゃんと言えた。
届いた。
「……え?」
「好きなの!」
同居最終日に告白しようって決めていた。
いつからなんてわかんない。
気づいたら好きだった。
円の素直じゃないところも、わかりづらい優しさも。
好きで、大好きで。
わたしだけが気づいていて
わたしだけに向けられたら
きっとどうにかなってしまう。
いっそどうにかなりたい。
円のそばなら絶対幸せだろうから。
「わたし、円のそばにいたい……!」
わたし、誰よりも円と距離が近い自信あるよ。
円もわたしに心を開いてくれてる。
さっきみたいに笑ってくれる。
もしかしたら円もわたしのこと好きかも
って何度も妄想して
溺れるくらい自惚れた。