王子系幼なじみと、溺愛婚約しました。



***


そして気づいたら朝を迎えていた。

はっきりしない意識の中でもわかる、今わたしの身体は誰かに包み込むように抱きしめられているのが。


それが心地良くて、まだこの腕の中にいたいって思っちゃう。


きっとそれは、芭瑠くんだから……。


もっと近づきたいと思って、思わず目の前にある身体に頬をすり寄せた。


「なにこの破壊力……っ」


そんな声が聞こえて、目をゆっくり開けて少し上に顔をあげる。


しばらくポーッと目の前にある芭瑠くんの顔を見つめる。


「寝起きから誘ってきてるの?」

「……?」


「……んなわけないよね。まだ寝ぼけてる?」


頬をむにっと引っ張られて、
眠っていた意識が徐々に戻ってくる。


「あれ……ここ、どこ……?」


芭瑠くんがいるのは変わらないのに、部屋がいつもと違う。


「昨日のこと覚えてない?」

「昨日……?」


「あんなに甘い声で鳴いてたのに」

< 327 / 361 >

この作品をシェア

pagetop