王子系幼なじみと、溺愛婚約しました。
***
そして気づいたら朝を迎えていた。
はっきりしない意識の中でもわかる、今わたしの身体は誰かに包み込むように抱きしめられているのが。
それが心地良くて、まだこの腕の中にいたいって思っちゃう。
きっとそれは、芭瑠くんだから……。
もっと近づきたいと思って、思わず目の前にある身体に頬をすり寄せた。
「なにこの破壊力……っ」
そんな声が聞こえて、目をゆっくり開けて少し上に顔をあげる。
しばらくポーッと目の前にある芭瑠くんの顔を見つめる。
「寝起きから誘ってきてるの?」
「……?」
「……んなわけないよね。まだ寝ぼけてる?」
頬をむにっと引っ張られて、
眠っていた意識が徐々に戻ってくる。
「あれ……ここ、どこ……?」
芭瑠くんがいるのは変わらないのに、部屋がいつもと違う。
「昨日のこと覚えてない?」
「昨日……?」
「あんなに甘い声で鳴いてたのに」