始まりはクールな御曹司とのとろける様な一夜から
素直に、


『ヤキモチ妬いてくれて嬉しい!』


って、その一言が言えたなら…


きっと、少しは可愛げもあるだろうけど…


でも…絶対言えないよ。


情けないのは悠人じゃない、私だ。


『お願い、本当に、もう離して』


いたたまれなくて、私は、もう一度言った。


悠人は…ゆっくりと、私から離れた。


『悪かった…』


『ううん、ごめん。私ね、ヤキモチ妬いたって言われても…私なんかにどうして?…って思ってしまうの…』


『穂乃果、俺の気持ちは、どんなことがあっても変わらない。嘘偽りは一切無いんだ。俺は…お前のこと、全部好きだ、全部欲しい…穂乃果を俺だけの物にしたい』


悠人…


嘘みたいにキュンキュンする言葉の連続に、私の胸は、最高潮に高鳴った。


こんなにも真っ直ぐに、私を見つめて言ってくれた言葉…


やっぱり…素直に嬉しかったんだ。
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