極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい

流星side

初めてのキスはほのかにワインの香りがした。
煽る叶を散々脅したというのに彼女の意思は固かった。
俺を見つめる叶の潤んだ瞳、扇情的な表情。
いつの間に少女から大人の女の顔をするようになったのかと驚くと共に俺の中の男の欲望が顔を出した。箍が外れてしまった俺は守る役目を放棄して叶を抱いた。
いや、叶のせいじゃない。
望さんとの約束を果たす為、俺は自分の感情を押えつけてたんだと叶の告白でやっと気付いた。
「流星さんが好き。出逢った時から好きでした」
その言葉に衝撃を受け、同時に俺の中に埋もれてた感情が破裂したのを感じた。

叶が好きだ。
震える手が伸ばされそれを引き寄せ抱きしめると冷えた身体を感じた。
そうだ、初めて会った時もこうやって震える叶が寒さに震える小鳥のようで温めてやりたいと抱きしめた。
あの時からもう俺は叶に惹かれていたのかもしれない。

「もう後戻りは出来ないぞ?本当にいいんだな?」
一線を超える寸前最後通告を出しても叶はブレることなくコクリと頷いた。
瞳を閉じ待っているその唇に自分の唇を触れさせるとどうしようもない罪悪感が俺を襲った。しかし同時にもっと触れたい欲求が上回る。
ここに来てうろたえる叶の口を塞ぎ、甘く芳醇なその唇を貪れば、もう止まることなど出来なかった。
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