極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい
と、とりあえず着替えて付けて見ようかと、気を取り直して支度をした。

ワンピースを着て真珠を身に着けて鏡の前に立つとつい素敵と呟いた。
もちろん自分がじゃない。ワンピースと真珠が、だ。
格好だけはどこぞのお嬢様だ。真珠のお蔭でワンランクアップした気がする。
だけど中身はただの家政婦。浮かれてる場合じゃない。
そろそろホテルも出ないと、そのまま部屋を出た。
高槻家へ帰ろうか、それともこのままどこかに逃げようか…そんなことが頭を過ぎったけど素直に流星さんの家で待っていようとレジデンスに向かうことにした。エレベーターで一階に到着して出たところで見覚えのある女性の後ろ姿がエントランスから出て行くのを見かけた。
あれは新山さん…なぜこんなところに?もしかして流星さんに会いに来ていたのだろうか?

『情け以外あなたに構う理由があると思って?あなたのような人を流星さんが好きになるとでも?』
『私達結婚するの。だから私達の周りにうろついて邪魔するのだけはやめて頂戴。身の程をわきまえて自分から高槻家を出てってよ!』
昨日も現れた新山さんの言葉が蘇ってきて胸が締め付けられる思いがした。

昨日の流星さんは私を情けで抱いたのだろうか?
そうだよね…。その気がなかった流星さんにむりやり懇願したのは私だ。

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