極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい
家に帰るとソファーに座らされ流星さんは救急箱を持ってきた。
「あの、自分で出来ます」
「いいから。大人しく座っとけ」
私の前に跪いた流星さんが私の怪我を丁寧に手当てしてくれる。伏せる瞼から伸びる長いまつげ、スッと通った鼻筋、綺麗な黒髪が少し乱れているのを見てきゅんと胸を高鳴らせてると、足まで拭いてもらって慌てて引っ込めようとしてじろりと睨まれた。きゅっと強めに包帯を巻かれつい顔が歪む。

手当てを終えた流星さんがふうっとため息をついて私を見上げた。
「ほんとに、お前は早とちりが過ぎるな。逃げることはないだろう」
「あ、あの、ごめんなさい…」
しゅんと縮こまり謝ると流星さんは目を逸らした。

さっき和泉さんから流星さんは少しふらついただけで大事には至ってないから大丈夫と伝えられて安心した。けど、私を追いかけてくれていたと聞いて申し訳ない。
「いや…すまない。俺の言い方が悪かったな」
珍しくばつが悪そうにしている流星さんに目が点になる。
次に目が合った時には流星さんは真剣な表情をしていてなぜか緊張感が走った。
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