極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい
「叶ちゃん、綺麗だよ」
「斗真さん」
斗真さんも仕事の合間に見に来てくれた。
流星さんが婚姻届のもう一人の証人は斗真に頼むと言った。私は気まずかったけど、斗真さんは快く快諾し署名してくれた。
「叶ちゃんへの想いは本気だったけど、叶ちゃんが幸せならそれでいいんだ。半分流星をけしかけるためのものだったし。俺には慰めてくれる人が沢山いるから気にするな。これからもよろしくな。流星の事頼むよ」
そう言ってあの陽だまりのような笑顔を見せてくれた。
斗真さんは蟠りなどなく自然に接してくれるのに私がギクシャクしては申し訳ないと、今までのようにお菓子も買いに行くし斗真さんとは笑顔で話している。

「流星に幸せにしてもらえよ」
「はい。ありがとうございます」
「斗真」
「よっ、流星いつにもまして男前だな？」
「なに思っても無いこと言ってんだよ」
顔を引きつらせる流星さんに斗真さんは大いに笑って流星さんの肩を叩いた。
「幸せにしてやれよ」
「言われなくてもそうする」
「また泣かせたら俺が奪ってやるからな、気を付けろよ」
「そんな事にはならないからお前の出る幕はない」
ふんと好戦的に視線を絡め、斗真さんはそうかよと後ろ手に手を振りながら帰って行った。
< 165 / 168 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop