極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい
「それだけですか?」
「何がだ?」
また意味有りげな視線を寄越す秀弥を一瞥し、何でもありませんと言うので俺は腕を組み瞳を閉じた。
ふと、瞼の裏に思い浮かぶのは叶の着物姿。淡い桃色に桜や牡丹があしらわれた上品な着物は着付け教室に通ってると言う叶に、着物が好きだった母が残したものをいくつか見繕ってやろうと実家で見たとき叶に似合いそうだと一番に決めた着物だった。
ーー叶ちゃんの着物姿マジ可愛い!一見の価値アリ!ーー
ーー叶ちゃんの色っぽい着物姿先に見てしまった。悪いな。ーー
会議中に何気に見た携帯に届いていた大和と斗真からのメッセージを見て眉間に皺が寄る。
あいつらめ…。見れるものなら俺だって見たいが仕事を抜けるわけにもいかない。
またいつか叶の着物姿は見れるだろうと諦めていたとき、大和からまたメッセージが届いた。
ーー今叶ちゃん帰ったところだよ!せっかくだから見てあげなよーー
さすが可愛がってる弟分だけあって大和は気を利かせてまだ着物姿の叶が家に帰るのを教えてくれた。
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