極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい

叶に忘れ物は?と言われ、口実を思い出した。
忘れ物を取りに行くように見せかけ書斎に入ると、はあ…とため息が漏れる。
何をしてるんだ俺は。
こめかみを押さえぐりぐりと回すと書斎を出て玄関に向かう。もう一度振り向き叶の着物姿を目に焼き付けた。
出て行こうとすれば呼び止められ斗真の差し金と思われる砂糖菓子を渡された。
斗真め、よくも叶を手懐けてくれたものだ。

車の中で気付かないうちにため息が溢れていた。
「お疲れですか?」
「ん?いや」
ため息が聞こえたようで秀弥が訪ねてきた。
「ああ、そう言えば、社長が返事の催促をしてましたよ?リフォームの件」
「ふん、そんなもの許可できないと言っただろう。俺は騒がしいのは嫌いなんだ」
「そう言われましてもねえ。社長は行く気満々のようですが」
「放っておけ」
悩みの種が舞い込みそうで俺はまたため息をついた。
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