極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい
大和め余計な事を。かんざしくらい俺が買ってやるというのに。
俺の不機嫌さに叶が恐る恐る買って貰ったのはいけないことなのかと心配してる。
「かんざしも用意すればよかったな。すまなかった」と言えば叶はとんでもないと首を振った。それでも「今度用意しよう」言うと「大丈夫ですから!」と必死に断られた。
それもそうだ。叶と俺は雇い主と家政婦の関係でここまでする理由はない。
しかし2年も一緒に住んでるのだから愛着が湧くというものだ。遠慮する叶の気持ちもわかるが他所の男に買われるなら主の俺が買ってやりたいと思うのは当然だろう。
つい意地の悪い聞き方をして買ってやる約束をすると、何がいいか聞いたら碧色のとんぼ玉がいいと叶は言った。そんなシンプルな物でいいのか?と叶を見れば目が合って、つい引き込まれるようにその瞳を見つめた。
穢れも知らないようなその無垢な瞳はよく俺の瞳を見つめてくる。俺の瞳は祖父譲りの碧眼。この瞳のせいで良い事も悪い事も色々あったが…。もし、叶が俺のこの碧眼を気に入ってるのなら嬉しいと思う。
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