極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい
「やかましいとは失礼だな。賑やかな方がいいだろう?なあ、叶?」
「え?あ、はい」
叶を勝手に呼び捨てにするなと思いつつ、父の問いかけに戸惑いながらも嬉しそうに笑う叶にやはり寂しいと感じてたのかと一瞬胸が苦しくなった。
確かになるべく早く帰るようにはしているが、遅く帰る日も多いから一人でいる叶は寂しいだろう。
一人にしないでという叶の願いを叶えられてない。今更なのだが。
「ほら、叶も喜んでるよ。いっつも兄貴と二人きりじゃ寂しいだろ」
「……俺は静かな方がいいんだ」
文句を言いつつ、言い出したら聞かない父と父に一番性格の似てる風雅だ、もう何を言っても引くことは無いだろう。諦めのため息が漏れる。
「あの、流星さん?」
不機嫌な俺を心配してか叶が俺のところに来て心配そうに見上げてくる。
「悪いな叶。突然こんなことになって」
「いえ、全然。武雄さんと紀子さんがお食事とお部屋の用意を手伝ってくれましたし一人じゃないので大丈夫です」
怒りを沈めた俺に安心したように笑う叶にホッとする。
叶に上着と鞄を渡すと部屋に仕舞に行った。
紀子さんが俺の分の食事を用意しているので席に着く。

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