あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~
知佳は俺を少し見つめた後で俺の胸の中に抱き着いてきた。

その背中を撫でながら痩せて骨が手に触れる感覚で俺は切なくなった。

こんなにつらい思いをさせて・・・俺は何ができる?

「ごめんな」
つい謝ると知佳は胸の中で首を横に振った。

知佳と俺は5年間離れていた。
その決断をするのも、俺の夢のために知佳が背中を押してくれた。
この小さくて華奢な体で、ありったけの力を込めて背中を押してくれたことを俺は一生感謝すると思う。

本当は知佳と結婚してニューヨークへ連れていくこともできた。

でもその時知佳はまだ23歳。
人生これからで、社会人としての経験もまだ一年に満たなかった。俺は誰よりも知っている。彼女が社会人になってからどれだけの努力をしてきて。やっと独り立ちしたのかを。
だからこそ、その努力を奪うようなこと、あの時はできなかった。彼女の人生が大切だからこそ、俺の想いだけで俺の進む場所に縛り付けたくなかった。
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