あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~
季節は冬。俺は知佳のカーディガンを持ち知佳を追いかけた。
苦しそうに吐いている知佳の体が冷えないように背中にカーディガンをかけてさする。

ひとしきり吐ききると知佳は真っ青な顔で額に脂汗を滲ませながら立ち上がった。

ふらふらとしながら洗面台に向かい口をすすぐ彼女にタオルを渡す。

「・・・」
言葉ないままやつれ切った顔で俺を見る知佳。

そりゃこんな目をしたくもなる。最近ほとんど眠れていない。食事も食べられるものが限られていて食べられてもこうして吐いてしまう。

俺は何もしてやれない。

いつだってそうだ。
こんなにも愛おしくて、どんなことでもしてあげたいと思っているのに、肝心なところは知佳に任せるしかできない。
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