ハッピーエンド
仕事がない間、エリーは家の中に閉じこもりアルベールのことを考えていた。
歌を取るか、愛を取るか。何時間考えても答えは出てこない。エリーは何度目かわからないため息と涙をこぼす。
「オビは、こんな時どうするの?」
エリーはオビに会いたいと出かける支度をする。オビのお墓参りに行くことにした。
オビの遺体は、戦地から送られてくることはなかった。しかし、お葬式は行われてオビは丘の上にある墓地に眠っていることになっている。
花屋でオビの好きなマリーゴールドの花束も買い、エリーは足早にオビのもとへ向かった。オビのお墓参りにはあまり行っていない。行くのが怖いからだ。
「オビ……」
丘の上には、たくさんの墓地が並んでいる。その中には、オビのように戦死した若い男性もいる。
エリーは少し迷いながらオビの墓地へと辿り着いた。墓跡にはオビの名前が刻まれ、花が供えられ、綺麗にされている。
エリーは墓跡に優しく触れる。オビの温もりも、人の柔らかさもどこにもない。ただ冷たく、虚しかった。