ハッピーエンド
口に入れたメインもデザートも、エリーは何を食べているのか全くわからなかった。

アルベールに家まで送ってもらい、真っ暗な家の中へと入る。テーブルの上からエリーを出迎えたのは、幸せそうに笑うオビの写真だった。

「オビ……」

涙がまたエリーの頬を伝う。オビ以外の人と付き合うなど、考えられない。しかし歌うことをやめることなどできない。歌は、エリーにとって生きる道なのだ。


どうすればいいの?
問いかけても誰も教えてくれなどしないわ
愛を取るか 歌を取るか
どちらも私にとって大切なもの
あの人への想いは、永遠に捨てることなどできはしないわ
だけどこうして歌うことも、私にとっては命より大切なの
暗闇の中 手を伸ばしても
何も掴めないのと同じ
光を求めて歩き続けてきた
でも道を間違えて暗闇の中に入り込んで
どうしたらいいの?どうすべきなの?
誰か私に正しい道を教えて


エリーはオビの写真を抱きしめ、夜が明けるまで泣き続けた。

美しい歌声は、一晩中歌い続けたせいか少し枯れていた。
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