ハッピーエンド
歌い終わると、猫はエリーの気持ちを悟ったのか、足元にすり寄ってくる。エリーは泣きながらその猫を撫でた。

「私、どうしたら……」

泣き続けるエリーだが、その答えは返ってくることはない。猫は申し訳なさそうな目でエリーを見上げる。

裏路地にエリーの泣き声が響いた。



それから数日後、エリーは大きな舞台の上に立ち歌を披露していた。観客の多くは貴族だ。みな、エリーの歌声に聞き惚れている。

エリーは普段よりも一段と豪華な金の刺繍が施されたドレスを着て歌う。いつもより豪華な舞台やステージに、エリーは少し緊張した。


さよならは未来へ届ける手紙
いつかまた巡り逢えると信じて
あなたにこの手紙が何年先の未来で
届きますようにと願い続ける
涙の雨はまだ止まない
それでもいいからと微笑むんだ


エリーが歌い終えると、一斉に拍手が沸き起こる。エリーは丁寧にお辞儀をし、部屋へと戻った。

部屋には付き人が運んだのであろう多くの貴族からの贈り物が山のように置かれている。エリーはため息をつき、豪華なドレスから普段着ているドレスへと着替え始めた。
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