ハッピーエンド
貴族から贈られるプレゼントの豪華さは、日に日に増していっている。美しいドレスや宝石、高級なメイク道具や靴などもあった。しかし、エリーは素直に喜ぶことができない。

プレゼントに添えれてある手紙に書かれているのは、エリーの歌の素早らしさや美しさ、そして自分と付き合ってほしいというものだ。エリーはまたため息をつく。舞台の上であった笑顔はどこにもない。

エリーの恋人の死を知ってから、貴族たちは我先にとエリーを手に入れようとする。エリーは丁寧に断り続けているが、貴族たちは諦めることを知らない。

プレゼントをどうしようかとエリーが考えていると、コンコンとドアがノックされる。

「はい、どうぞ」

「失礼します」

そう言い入ってきたのは、エリーの付き人のアリアだった。幼さの残るそばかすのある顔は無邪気に笑う。

「アルベール様がお話があるという仰っていました」

「……そう。ありがとう」

アルベールは、貴族の中でもエリーに一番猛烈にアプローチをしている人物だ。アルベールのもとへ行くエリーの足が重くなる。
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