君がいれば、楽園
 彼がラッピングしている間、店先に並ぶ植物を眺めて時間を潰す。
 ごく普通のホームセンターだけれど、おしゃれな鉢や花器もあり、なかなか充実した品ぞろえだ。

 ほどなくして彼に呼ばれ、レジ台へ行くと、赤と緑のリボンをかけられたポインセチアと一緒に、小さなポリポットに入った可愛らしい植物を差し出された。

「これは、俺からのクリスマスプレゼント。アイビーは、丈夫で手間のかからない子だけど、大事にしてやってね?」

 添えられたクリスマスカードには、ポインセチアとアイビー、それぞれの育て方が綺麗な字で書かれていた。

 ――冬麻さん。

 ちらりと名札に目をやり、忘れないようにしようと思った。
 大学で会ったら、挨拶くらいはできるように。

「ありがとうございます」

 親切な彼に心からのお礼を言うと満面の笑みが返ってきた。

「こちらこそ、お買い上げありがとうございました。それから……メリークリスマス!」



 しかし、彼に大学で会えるかもしれないというわたしの期待は、あっさり裏切られた。

 当時大学四年生だった冬麻は、就職先がすでに決まっていたのだ。

 年明けには地元を離れ、大学に顔を出したのは卒業式の時だけ。単なる顔見知りでしかないわたしとの接点は、綺麗さっぱりなくなった。
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