君がいれば、楽園
 彼にもらったアイビーは、一生懸命世話をした甲斐あって、すくすく育った。

 もともと植物に興味はなかったし、彼と出会った後も興味を持つことはなかったけれど、アイビーだけは大事に育てた。

 地元を離れて就職することになった時も一緒に引っ越した。

 初めてのひとり暮らし。インテリアに特別興味があったわけではない。
 でも、せっかくだから自由奔放に育ったアイビーをおしゃれに飾ってみようかと思い立ち、品ぞろえがよいと評判の郊外にある園芸用品店へ出向いた。

 そこで、冬麻に再会した。

 てっきりわたしのことなど忘れているだろうと思ったのに、冬麻はわたしを見るなりまっすぐに近づいてきて、あの時と同じ満面の笑みで「アイビーは元気にしている?」と訊いた。

 それが、始まりだった。
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