君がいれば、楽園
 わたしは、幼い頃からひとりで過ごすことが多かった。
 周囲に「ちょっと変わった子」と思われていて、自分でもそうなのかもしれないと思っていたけれど、それなりに友達もいたし、いじめに遭うことなく、平穏無事に卒業できた。

 周囲の人たちが簡単に理解できていることが、自分には理解できないと気づいたのは、中学生の頃。同級生たちの行動が、理解できなくなった。

 化粧の仕方や髪型、制服の着こなし方。同性と話すときの様子。異性と話すときの様子。テストの成績に、教師からの評価。

 それぞれ関係がありそうでないような、あいまいな基準や暗黙のルール。
 しかも、その基準は簡単に変わる。今日はOKでも、明日はNOかもしれない。

 吐き出される言葉は、その行動とは裏腹で、何が本当のことなのか理解しようと思えば思うほど、わからなくなった。

 わからないから、わかろうとした。

 勝手にわたしの行動の意味を決めつけられるたびに、「どうしてそう思うの?」「なんでそんなことを言うの?」と質問を繰り返した。

 けれど、誰からも納得のいく説明は得られなかった。
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