【短】チョコプリンセス〜甘い甘い誘惑に勝てはしない〜
「なによ?」
「愛咲ちゃんは………」
「え?」
「や、なんでもない」
すくり
上手く言葉に出来ない、というように口を濁して、楽斗は私から離れていく。
私は、その後ろ姿を見て思わず手を差し伸べてしまいそうになった…。
でも、その手は空を切る。
なに、してんだろ、私は。
楽斗のことは、誰よりも自分が知っているはずだと…いつの間にかそう思ってて。
でも現実は、そんなこと全然なくて…。
「……あぁっもうっ!こんなのちっとも私らしくない!」
そう言って、軽く丸めたテキストをペシペシ机に叩き込む。
そして、古典の授業が始まると同時に、溜息を仕舞い込んで、黒板の上で踊っていく先生のくせのある字に没頭した。